きものラボラトリ 09
狩衣 (かりぎぬ・かりごろも) と 直垂 (ひたたれ)その2
前回の続編となりますか、今回は直垂を取り上げています。
前回でも触れてましたが、近年大河ドラマでも「鎌倉殿の13人」や「光る君へ」等、平安や鎌倉時代また、戦国時代が題材の「SHOGUN将軍」によって歴史的そして、正確性を重視し且つ美術的なアプローチによって視覚的にも楽しめる衣装が多数登場してきています。
時代考証により季節や階級による生地や色目、装飾、禁色等の決まり事がありますが、前回の「狩衣 」に並ぶ「直垂」の特徴をまとめてみました。
写真や動画でもあります。練習用の衣装なので違いはありますが、参考としてそして、興味を持って頂くのを主眼としています。
直垂
平安後期に武士が着用しはじめ、鎌倉時代に幕府に出仕する時の通常服また、室町時代武家の服装を代表するものとなりました。 そして、江戸時代には長袴を用いるようになります。
元来は、庶民の労働着で身幅・袖幅の狭い布製の上衣でありましたが、彼らが武士として活動するようになって端袖(はたそで)を加え,共布の袴を着けるなど形を整えていきます。鎌倉時代には幕府出仕の公服となり,江戸時代には三位以上の武家の礼服となりました。
直垂の特徴
- *同色の袴を組み合わせた装束
- *袵(おくみ)がなく襟の左右の紐(胸紐)結ぶ
- *袖紐は表に出ないで内側に籠める「籠括」末端の結び余りだけが袖下に出る「露(つゆ)」
- *袴は現在は切袴
- ですが、鎌倉時代は裾に紐を通して括り袴。室町時代には括り紐のない切袴。江戸時代の礼装としては長袴となります。
- 袴は同色が原則ですが「直垂袴姿」と称して別色を用いることもあり、室町時代には礼装として白い大口袴をはいた姿もあります。袴の紐は白です。
直垂の種類
- *大紋(だいもん)胸紐や菊綴結が丸組紐 大きな家紋の文様が染め抜かれる
- *素襖(すおう)革リボン
- *鞠水干(まりずいかん)蹴鞠(けまり)の装束
- 胸紐を結ばずに、袴(指貫)の帯と絡ませる。
- *格衣(かくえ)
- 神職が狩衣などの装束を省略する。