メイクアップラボ#21

シリコンコンパウンドの使い方

今回は、キャラクターメイク分野の材料の話です。

特殊メイクアップの材料として最近注目を集ているシリコン(シリコーン)ですが、今まで直接の着色が容易でなかったり乾燥等の使い勝手が今一つだったりと、正直なところ敷居が高く取っ付きずらい感覚もありました。

海外では特殊メイク用の新材料が続々と登場してきていますがその中の一つ、今回はその草分け的存在のシリコンコンパウンド(3rd Degrees)を取り上げてみました。弊ショップページでも掲載するようになり、多くのシーンでご利用頂けるようになりました。

特徴を理解しさらに幅広くご活用頂くためにここで取り上げてみることにしました。

まず上げておくべき大きな特徴として、接着剤等を使わずに施したい箇所にそのまま乗せることができるということ。 「オーブン等で熱を加えて」という手間はなく、撮影の現場で時間を要することなく作業ができます。そして、直ぐに固まりその上から着色ができたり、予め調色もできるというが大きなメリットです。

また剥離するためのリムーバーもいらずにきれいに剥がし取ることができるというのも大きな特徴の一つでしょう。接着剤の手間が省けたり肌への負担を軽減できるのが良いポイントたど思います。

今まで3D的に盛って整形(造形)する材料としてタプラスト、ノーズ&スカーワックスや、ナチュロプラスト等のワックス類がごく一般的でしていたが、シリコンコンパウンドの登場で接着の行程等かなり省け時短に貢献することや、他に擦れたりしてせっかく作った形が崩れたりという心配も減ったりと大きく変わってきました。

作りたいものや、その他の様々な条件によっても使う材料が必然的に変わってくるとは思われますが、利便性や操作性が良い材料としてお勧めできる新材料の一つには間違えないと思います。

また、後発として造作の食いつき密着度を良くしメイクのもちもよくするための下地剤、専用プライマやペースト状だけでなく柔らかめの液状コンパウンドも加わり一層使い道も広がりました。

シリコンコンパウンドの使い方

作りたい箇所に直接傷等を作る手順

  1. 平なプレート(パレット)等を用意し2色のコンパウンドを同量(1:1)でよく混ぜ合わせます。
  2. 必要があればプライマー等下地材を用いてコンパウンドの着きを確実にします。特に筋肉上のように動きがある部分の上に盛る場合等が該当すると思います。
  3. 形を作りたい部分、盛りたい箇所に混ぜ合わせたコンパウンドを直接のせます。
  4. 適宜、整形してやります。
  5. アクティベイターを用いブラシやスパチュラを浸しコンパウンドのエッジ部等を撫でてやることで、自然で滑らかに馴染ませることができます。
  6. そして、着色(色合わせ)
  7. 他箇所への色移りを避けたい場合には、上からシーラーを塗ってやると効果的です。

ドラマ等の撮影では、話の(シーンの)前後が逆になったりということはよくあります。 そんな時、同じ形の傷を幾つか用意しなければなりません。 フォームラテックス、オーブン等を用いてパーツを作ったり、雌型にラテックスを流し込んで乾かしたりして予め準備が必要でしたが、シリコンコンパウンドが代用できる場合には乾かすために時間をおく必要もなくなり、多くの手間を省くことが可能です。

型に塗り込んで幾つか同じ傷等を用意する場合

  1. 2色のコンパウンドを同量混ぜ合わせます。
  2. 型に入れ込む、流し込みます。
  3. アクティベイターで周りを馴染ませ(延ばし・薄く)ます。
  4. 乾いたら型から取り出します。

撮影現場等で使用時にシリコン接着剤やプロスエイド等で接着し、前述の傷の作り方同様着色、必要があればシーラーを施して仕上げます。

固形タイプだけでなく、流動性が高い液状のタイプもあるので用途により使い分ける様にすると良いと思います。 

コンパウンドを混ぜ合わせる手順で、少量のクリームファンデーションを一緒に混ぜ込んでやり予め着色して使用することもできます。これにより、接着後の色合わせの手間を減らすことが可能です。これも時短に貢献ですね。

注意点としては

コンパウンドを容器から取り出す際に、それぞれの容器の中で2液が混ざり合ったりしないように。とにかく準備段階で混ざり合わないように、例えば1本のスパチュラを使用するような場合には、そのまま使わずスパチュラに着いた片方のコンパウンドをきれいに拭き取ってから他方のコンパウンドを取るようにします。

そして、それぞれのコンパウンドの蓋も入れ替わったりしないように注意が必要です。少量と言えども、容器の中で混ざらないように極力注意を払います。容器の中でそのまま固まってしまう可能性もあり不経済な結果を招いてしまいます。 それから、保管時は日差しと高温は避けましょう。

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